バーチャルオフィスやレンタルオフィスを利用するにあたり、困るのは事業者の倒産です。法人登記をしていれば、早急に移転先を探さなければなりません。
そこで気になるには、これらの運営会社はどの程度倒産しているのかということです。安心して利用できる運営会社を選ぶためにも、少し考えてみましょう。
目次
1 バーチャルオフィスやレンタルオフィスは廃業率の高い業種なのか
バーチャルオフィスやレンタルオフィスの倒産数は、直接的に調べる手段はありません。中小企業白書などのレポートをみても、そのような記載がないからです。
そこでさまざまな手段を通して、バーチャルオフィスやレンタルオフィスの運営会社の倒産率を検証したいと思います。
まず、どのような業種で廃業率が高いのかを調べてみます。それに該当するのであれば、バーチャルオフィスもレンタルオフィスも、倒産する運営会社が多いと推測できるからです。
1-1 バーチャルオフィスやレンタルオフィスの市場規模から考える
廃業率が高いということには、いくつかの原因があります。まずライバルとなる同業者が多いうえに市場規模は変わらない、あるいは同業者は変わらないけれども市場が縮小していることがあります。
出版業界や印刷業界がこれに該当しますが、長引く出版不況により多くの印刷会社が倒産しました。もちろん、あらたな技術を持ち込んで新規参入しシェアを拡大させている会社もあります。
ネット通販印刷もそのひとつですが、従来にはなかった需要を取り込んでシェアを広げています。
ではバーチャルオフィスやレンタルオフィスの場合はどうでしょうか。需要は明らかに増えています。これは個人事業主が増えていることが理由です。終身雇用の崩壊とネットを活用したあらたなビジネスの創出などが背景にあります。
もちろん個人事業主あるいは新設法人の増加にともない、その廃業数の多さにも注目すべきです。個人事業主自体の数は年々減少していますが、これは開業数に対して廃業数の割合が多いことを意味します。
しかしバーチャルオフィスやレンタルオフィスが対象とするのは、新規に事業を立ち上げる個人などです。新規の個人事業主がある限り、市場規模が縮小することはないでしょう。
この点において、バーチャルオフィスやレンタルオフィスの運営会社は該当しないので、倒産率が高いとは言えないでしょう。
1-2 バーチャルオフィスやレンタルオフィスは新規参入が多いか
新規参入が多い業種も、廃業する会社が多くなります。市場規模が変わらないとすれば、パイの奪い合いになります。そこに参入する会社が増えるとなれば、当然脱落していく会社が出るからです。
ではバーチャルオフィスやレンタルオフィスの場合はどうでしょうか。これも統計で検証することはできませんが、需要が多いことを考えると同業者の新規参入も多いと考えるべきでしょう。
しかも工場のような大掛かりな設備投資は不要ですし、特別な専門技術もいりません。つまり提供するビルさえあれば、事業を興すことができるのです。
レンタルオフィスの場合は需要を考えると、その場所は特にこだわる必要はありません。利用者は低料金でオフィススペースを確保できればよいからです。
しかしバーチャルオフィスの場合、事情は少し変わります。住所を借りるという点で、できれば知名度の高い場所を希望するケースが多いからです。必然的に都市部の一等地、あるいは有名なオフィス街で物件を調達しなければなりません。
そのような制約があると、誰でも簡単に参入できる業種とは言えないでしょう。つまりバーチャルオフィスの新規参入はある程度制限されるので、ライバルとなる同業者が急速に増加することは考えられず、競争に敗れて倒産するというケースもそれほど多くないと推測できます。
1-3 バーチャルオフィスやレンタルオフィスは技術やサービスの差別化があるか
消費者は同じような商品やサービスを提供する会社があれば、より魅力のある方を選びます。選ばれた会社が生き残り、選ばれない会社はやがて倒産するでしょう。その差を生み出すのは価格や商品・サービスの品質などです。
ではバーチャルオフィスやレンタルオフィスの場合、そのような技術や品質などに関する差別化があるのでしょうか。この答えはイエスでしょう。
正確にいえば、料金と提供するサービスとのバランスが優れている運営会社が生き残り、そうではない会社は脱落していきます。
たとえばバーチャルオフィスの場合、利用者が望む場所というものがあります。たとえば渋谷などはベンチャー起業が集まりやすく、そのためにコワーキングスペースも増えています。
このように需要の多いエリアでサービス提供できる会社は売上を確保できますが、そうではない会社は需要を取り込むことができずに倒産へと追い込まれます。
あるいは電話転送や代行といったサービス内容に関しても、消費者はその品質を選びます。同じようなサービスであっても、運営会社によってその品質は異なります。
料金に見合うか、それ以上の品質を提供できる会社は生き残り、そうではない会社は脱落するということです。
この点では市場規模や新規参入に関わらず、一定の倒産数は出ることが予想できます。
2 結論としてバーチャルオフィスやレンタルオフィスは倒産が多いのか?
以上の検証から答えを導くとすれば、バーチャルオフィスやレンタルオフィスの運営会社は、その提供するサービス内容によって倒産の確率が変わるということになるでしょう。
市場規模は大きいものですし、新規の顧客も増えています。逆に参入する運営会社は提供できるビルに限りがある以上、無数に増えるわけではありません。
需要と供給の面から見ると、他の業種に比べれば倒産の割合は少ないと考えられます。
しかしそのサービス内容に関しては、品質に違いが生じます。同じような料金設定であっても、電話代行の受付などは属人による品質の違いがどうしても生じるからです。
その点において、料金と提供するサービスの品質のバランスが良いか否かが倒産する可能性を左右すると考えられます。
つまり利用者は運営会社を選ぶ際に、その品質に注意することで倒産のリスクを回避できるといえます。
3 バーチャルオフィスの倒産を回避するためのチェックポイントとは
それでは具体的に、倒産しにくいバーチャルオフィスの運営会社はどのように選べばよいのでしょうか。ポイントはいくつかありますが、あくまでも料金設定に見合うサービス内容であるか否かが大事です。
まずバーチャルオフィスに届いた郵便は、どの程度の期間で転送されるのかチェックしましょう。同じ期間でも料金に違いがあれば、安い方がコスパが高いと判断できます。
つまり需要も多いために倒産する確率は低くなるでしょう。
また電話代行も、見学の際にオペレーターの対応をチェックすることで品質を確認できます。
これは顧客の立場で電話を受けると考えて、その対応にどんな印象を受けるかを考えればよいでしょう。
このようにいくつかチェックをすれば、大体その会社のサービスレベルというものを推測できます。あとは他の会社と比較し、料金を考慮してコスパの高いところを選べばよいでしょう。
おわりに
バーチャルオフィスもレンタルオフィスも需要は十分にあります。そして運営会社の新規参入の障壁もそれほど高くないので、あらたなサービスも増えてくることでしょう。
倒産するか否かは、純粋にそのサービスの品質で決まります。開業数や市場規模だけでは測れないものなので、実際に利用を検討する会社を見学して、その品質を確かめることが大事です。