バーチャルオフィスは安い料金でオフィスの住所を借りることができるため、スタートアップ企業には役立つサービスです。
しかしこのサービスを利用していることがバレることで、時には困るというケースもあります。そこで今回はバーチャルオフィスがバレるケースと、そのデメリットについてご紹介します。
目次
1 会社にバレるケース
会社には内緒で副業として仕事をしているうちに、売上が増えたので会社を作るという人は少なくないでしょう。
その法人登記のためにバーチャルオフィスを借りることで、会社にバレることがあります。
1-1 会社にバレる理由とは
会社にバレるのはバーチャルオフィスを借りていることではなく、正確にはほかに事業を行っているという事実です。単なる副業でも同じですが、給与以外に収入がある人は必ず確定申告をしなければなりません。
給与所得以外の雑所得が20万円以下であれば、所得税は課税されません。しかし住民税は発生するので、確定申告が必要になります。もちろんバーチャルオフィスを借りて法人登記をするとなれば、所得金額も20万円は超えることになるでしょう。
そこで特に意識せず申告書を作成して税務署に提出すると、会社で天引きされる住民税がいきなり増加することがあります。こうなれば当然、会社側は不審に思い理由の説明を求められることになります。
1-2 会社にバレると困ること
会社に内緒で事業をするのは、おそらく就業規則に抵触するとわかっているからでしょう。つまり副業や兼業を会社が禁止しているために、それがバレてしまうと最悪の場合には解雇されることになります。
1-3 会社にバレないための工夫とは
会社にバレてしまうのはバーチャルオフィスを借りているからではありません。法人登記するほどに収益を生み出しているため、確定申告をするからです。
ここで住民税の納税方法を、特別徴収ではなく普通徴収を選択することで、個人で得た所得金額に対する住民税だけは会社からの天引きではなく、自分で納付できるようになります。
これだけで会社から天引きされる住民税は従来と変わることなく、不審に思われることもありません。
2 取引先にバレるケース
会社を立ち上げたものの、まだ取引先がなく売上も出ていない場合には新規顧客作りは苦労するものです。
これは実績がないためですが、バーチャルオフィスの住所を会社所在地とすることである程度の信用を得られることがあります。
ただしこれが実体のないバーチャルオフィスであるとバレると、その信用が揺らぐことにもなりかねません。
2-1 取引先にバレる理由はさまざま
会社の所在地がバーチャルオフィスであることを隠して新規顧客を作っていった場合、それがバレてしまうことで相手との関係性が悪化することがあります。
取引先にバレる理由はいろいろとあります。まず取引先がアポなしで直接バーチャルオフィスのあるビルに足を運ぶことで、そこに実際には事務所がないことが判明するケースです。
あるいは訪問したいと何度も申し出ても、それを断り続けていると不信感を持たれてネットで住所を調べ、そこからバーチャルオフィスであることがわかってしまうこともあります。
また電話からバーチャルオフィスであるとバレることもあります。何度電話をしても、いつも留守番電話になっていると不審に思われます。
あるいはすぐに転送に切り替わることからも、疑わしいと調べられるケースもあるでしょう。
2-2 取引先にバレると困ること
最初からバーチャルオフィスを利用していることを明言していれば特に問題はありません。しかし信用度を高めたいと一等地などのバーチャルオフィスを借りて、そのネームバリューで取り引きが始まるケースはダメージが大きいかもしれません。
もし取引先がその会社の所在地から実績のある会社であると判断していたならば、その信用を失うことで取り引きが終了することもあります。
2-3 取引先にバレないための工夫
一番良いのは最初からバーチャルオフィスを利用していることを明言しておくことです。しかし顧客が増えないためにやむを得ずバーチャルオフィスを借りていることを隠しているのなら、対策はいろいろとあります。
まず突然会社に訪問してきた時のために、受付サービスのあるプランで契約しておくとよいでしょう。これはバーチャルオフィスのビルに常駐する専門スタッフが、契約者の会社名を名乗って訪問者に対応してくれるサービスです。
ほかにも電話を受けて対応してくれる電話秘書サービスなど便利なサービスを利用できるので、あらゆるリスクに備えておくとよいでしょう。
3 金融機関にバレるケース
会社を設立して必要になるのは、法人名義の銀行口座です。事業資金を調達するための融資を受けるためにも法人口座が必要だからです。もし法人登記している住所がバーチャルオフィスであるとバレたら、どうなるのでしょうか。
3-1 金融機関にバレる理由とは
法人名義の口座を開設するために必要な書類は、登記簿謄本・銀行届印・身分証明書・定礎の写し・会社の印鑑証明・法人開設届・事業計画書といったものです。そして必須ではありませんが、確認のためにオフィス賃貸契約書の提出を求められる場合があります。
バーチャルオフィスを借りて法人登記をしていることを明確にせず、オフィス賃貸契約書を提出せずに法人口座を開設することは不可能ではありません。
そもそも金融機関が求めるのは、融資をした際にきちんと返済できるかどうかと、口座を悪用されないかどうかを確認できる書類です。きちんとした会社であることを認められれば、バーチャルオフィスを利用していても本来は問題はないはずです。
ところが口座開設が難しいと自分で判断してバーチャルオフィスを利用していることを隠していても、それがバレることがあります。
まず何かしらの理由で電話をかけた際に、常に留守番電話になっていたり転送したりすることで、不信感を持たれることが原因になります。
バーチャルオフィスの住所を調べると、複数の会社がヒットします。そこで実際にその場所に足を運ぶことで、バレてしまうというパターンになります。
3-2 金融機関にバレると困ること
金融機関にバーチャルオフィスを利用していることがバレて困るのは、融資を受けにくくなる可能性があることです。しかしこれは、決してバーチャルオフィスを借りていることが問題なのではありません。それを隠して口座を開設したということが問題なのです。
隠すということは何か理由があるのではないかと疑われます。バーチャルオフィスを利用して詐欺やマネーロンダリングなどを行うケースが多いことが背景にあるからです。
3-3 金融機関に対して行うべき対処とは
バーチャルオフィスの住所で法人登記をしていると、法人口座を開設できないという話はよく聞きます。ハードルが高くなるのは事実かもしれません。
しかしバーチャルオフィスであることを隠して口座開設を申し込むよりも、しっかりと事業計画書を作成して提出することを考えたほうがよいでしょう。
銀行によっては申請が通ることもあります。ちなみに口座開設を断られる理由は説明されないケースが多く、どの銀行であれば確実に開設できるのか確認は難しいかもしれません。
しかし多くの銀行は、ある程度の事業実績があれば開設可能となる可能性があるので、最初は個人名義の口座を使って事業実績を積み上げることをおすすめします。
おわりに
バーチャルオフィスを利用して法人登記をしていることを隠したいケースは少なくないでしょう。どうしても隠しておきたいのであれば、バーチャルオフィスで提供するサービスを活用することで対応することも可能です。