バーチャルオフィスは実際に事務所を借りるわけではありません。しかし事業を開始すれば、時にはオフィスに足を運んだり取引先と面談することもあるでしょう。そのような時に備えて、実際のビルと内部の様子を下見しておくとよいかもしれません。
バーチャルオフィスは住所や電話番号のみを貸し出すサービスです。実際にオフィススペースを借りるわけではないので、下見する必要はないようにも思えます。しかしバーチャルオフィスを借りる場合には、下見をしておきたい理由がいろいろとあります。
バーチャルオフィスを下見する必要はある?
1-1 実際のビルをチェックしておいた方が良い
たとえ住所のみを借りるとしても、クライアントによっては直接訪問することがあります。その時にどんな印象を受けることになるのかを、自分で確認しておきたいものです。
バーチャルオフィスのビルにはさまざまなタイプがあります。一等地での立派な建物を利用している場合もあれば、空室が目立つような雑居ビルを使っている場合もあります。
利用する前に一度は下見をして、どのようなビルであるのかをチェックしておくとよいでしょう。
1-2 共有施設を確認しておきたい
バーチャルオフィスは住所や電話番号だけを貸す以外にもオプションとしてさまざまなサービスを提供しています。その中でもビル内の共有施設を使ったものがあるので、その様子をチェックしておきたいものです。
たとえば会議室やミーティングルームのほかに、ちょっとした作業スペースを用意している業者もあります。
その使い勝手も確認しておくと、利用料金に見合ったものであるかどうかをチェックできます。あるいは自分が想定する使い方ができるかどうかも確認できるでしょう。
2 バーチャルオフィスを下見することのメリット
バーチャルオフィスを下見しておけば、いろいろと気づくことがあります。さらに契約をする前に確認しておけば、利用し始めてから後悔することもなくなるでしょう。
2-1 電車などのアクセスを確認できる
バーチャルオフィスは実際に事務所として使用しないので、駅からの道順や路線の使い勝手などは関係ないように思えます。もちろん足を運ぶ必要がなければよいのですが、実際に利用を始めると想定外のことも起こります。
たとえば取引のあるクライアントが来社したいと言い出すこともあります。バーチャルオフィスであることを隠している場合、直接来社されると困ることもあるでしょう。
もし古びた雑居ビルであったならば、クライアントの心象も良くありませんし、その後の取引に影響するかもしれません。
またバーチャルオフィスで利用できる会議室などで打ち合わせをする場合には、自分にとっても取引先にとっても足回りの良い場所であると便利です。
実際に足を運ぶことがないからといって、どんな住所でもよいわけではありません。まず下見をして、立地条件を確認しておくと後で不便な思いをせずに済みます。
さらにバーチャルオフィス宛てに届いた郵便物を転送してもらうと遅くなるので、直接取りに行きたいということもあるでしょう。そんな時にも足回りの良い立地であれば、すぐに取りに行けるので便利です。
2-2 会議室の使い勝手を確認できる
バーチャルオフィスには会議室を必要な時に利用できるサービスがあります。打ち合わせに利用したりセミナーを開催したりと、用途はいろいろです。
そこで下見の時に会議室をチェックしておけば、自分が想定する使い方ができるかどうかを確認できます。
たとえばクライアントとの打ち合わせ程度であれば、それほどの広さは必要ありませんし設備も不要です。
しかし、ある程度の人数を呼んでセミナーを開催するのであれば、それだけの人数を収容できる広さが必要ですしテーブルや椅子も必要になります。さらに大型モニターやプロジェクターを映し出すスクリーンもあると便利です。
ほかにもどんな設備があるのか、給茶機などは用意されているかなども確認できます。
2-3 受付サービスの様子を見学できる
バーチャルオフィスの便利なサービスに、電話受付や来客受付があります。これは外電を単に転送するのではなく、受付が一度電話を受けてから利用者にその内容を知らせてくれるサービスです。
あるいは急に来社したクライアントや顧客の対応をしてくれる受付サービスもあります。
その際の対応状況を下見の時に見学することも可能です。その対応の仕方によって、相手に与える印象も変わるので、きちんと対応しているかどうかを確認できます。
2-4 バーチャルオフィス提供業者の経営状況を把握できる
実際のビルを見れば、バーチャルオフィスを提供している業者の経営状況が何となく把握できます。格安サービスの場合、業者が倒産することでそれまで使っていた住所が使えなくなるケースがあります。
法人登記をしていれば、あらたな住所を探して登記をし直さなくてはなりません。そのための費用も必要ですし、サイトや名刺、パンフレットなども作り直す必要があります。きちんと清掃されているかなどもチェックして、運営状況を確認するようにしましょう。
またビル名を確認することで、もうひとつ大事なことがわかります。バーチャルオフィスを運営する会社がファンドであると、ほかのファンドに買収されることでビル名が変わることがあります。
そうなると契約そのものは継続しても、住所のビル名を変えなければなりません。ビル名にファンドの名前が入っていたら、注意したほうがよいでしょう。
2-5 クライアントにアピールできる点を確認できる
バーチャルオフィスによっては、立派なビルを構えている場合があります。利用料金もそれなりに高くなりますが、実際に下見をすることでそのゴージャスさを再確認することになるでしょう。
これは取引先に対しても大きなアピールポイントになります。バーチャルオフィスは一等地などを会社の所在地にすることで、好印象を与えるのも利用目的のひとつとなります。
クライアントは取引先の信用度を気にしますし、その所在地が有名な場所であれば安心します。
さらに会社が入るビルが立派なものであれば、さらに信用度が高まります。何かの話のついでにアピールすることもできますし、細かな描写ができるように下見の際にはきっちりと見学しておくとよいでしょう。
3 バーチャルオフィスを下見するデメリット
バーチャルオフィスを下見することでいろんな情報を得ることができます。そこには一見すると、何のデメリットもないように思えます。しかしこの情報を得られるということが、逆にデメリットになるケースもあります。
3-1 現実のビルを見ることで契約の意欲を失う
最初は住所さえ借りればそれで良いと思っていても、実際にビルを下見に行くことでその意欲を失ってしまうことがあります。
これから会社を設立して、とりあえず法人登記をする住所があればよいので格安サービスを利用しようと考えたとします。しかし一応、その所在地を確認したいと下見に出てみると、そこには古びた雑居ビルがあって幻滅するかもしれません。
するとそれまで検討していた料金ではこのような物件の住所しか借りることができないと、もう少し上のレベルを検討しようと思うかもしれません。
しかし無理をして立派なビルのバーチャルオフィスを借りても、十分な収益を上げることができずに事業を継続できなくなる可能性があります。
3-2 下見のための時間をかけるようになる
実際のビルを下見するようになると、少しでも見栄えのよい物件を探したいと思うかもしれません。そうなるといくつものバーチャルオフィスを探して見学することになりますし、そのための時間を費やしてしまいます。
十分なお金をかけることができればよいのですが、会社を設立したばかりであればビルの見た目には妥協する必要もあります。そのためには下見をしないでおいたほうが、すんなりと契約することもできるでしょう。
おわりに
基本的にはバーチャルオフィスといえども実際にビルを下見して、いろいろと確認しておきたいものです。自分が想定する使い方に不便がないかどうかをチェックするためです。
しかし格安サービスしか利用できないようであれば、逆に下見をしてしまうことでなかなか妥協して契約できなくなってしまうかもしれません。自分の利用目的を明確にしたうえで、下見をするか否かを決めるとよいでしょう。