個人事業主や法人がバーチャルオフィスを使うメリット・デメリットまとめ

個人事業主や法人がバーチャルオフィスを使うメリット・デメリットまとめ

年金受給年齢が75歳になることも現実味を帯びているなか、定年前に起業する人も増えています。

老後の収入源確保も目的に開業数が増加する反面、廃業数も多いのが現実です、そこで経費削減に役立つバーチャルオフィスを検討している方のために、そのメリットとデメリットをご紹介します。

1 バーチャルオフィスのメリット

まずはバーチャルオフィスを利用することでどんなメリットがあるのかをご紹介します。単に経費削減のために利用するのではなく、その強みを生かした活用方法を考えるためにも役立ちます。

1-1 経費を抑えて経営が楽になる

バーチャルオフィスの一番のメリットは、オフィスを構えるために必要な初期投資費用および月額費用を削減できることです。

中小企業庁による中小企業白書によると、2012年から2014年のデータでは個人企業の開業率(全会社数に対する開業数の割合)が年平均3.9%であることに対して、廃業率は6.4%となっています。これは開業する一方で廃業する個人が多いことを意味します。

経営がうまくいかない理由はさまざまですが、少なくとも経費を削減することで経営を楽にすることができます。

しかしオフィスというスペースを借りるとなれば、それなりの賃料が発生します。入居時には保証金などの大きなお金も必要です。

中小企業省が発表している中小企業実態基本調査によると、平成24年度決算実績によれば売上高に対する地代家賃割合は全体平均で1.3%となっています。

従業員5人以下では2.2%、6~20人で1.3%です。

2018年8月9日の日本経済新聞の記事によれば、同年7月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス平均賃料は3.3平方メートルあたり2万0202円だそうです。

また日本ビルヂング協会連合会の調査によると、1人あたり必要なオフィス面積は、東京エリアで12.1平方メートルとなっています。

たとえば1人で起業しオフィスを借りるとします。必要な広さは12.1平方メートル(その広さのオフィスがあればの話ですが)となり、月額賃料は74,074円となります。

この賃料を支払うために必要な年間売上は次のようになります。

74,074×12÷0.022=40,404,000(円)

実に4,000万円もの売上が必要となる計算です。実際に経営している中小企業の平均値ですから、これを実現できないとなれば経営を続ける可能性が低くなると考えられます。

さらに電話を受けたり雑務をこなすスタッフが必要ですし、そうなれば必要なオフィスの広さも売上も増えていきます。

2016年11月の三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べによると、起業後は7割が従業員を雇用していることがわかります。

バーチャルオフィスを利用すれば、その賃料を大幅に削減できるので、経営もかなり楽になります。

1-2 電話代行など便利なサービスを利用できる

実際にオフィスを借りるとなれば、電話を受けるスタッフも必要です。しかしバーチャルオフィスであれば、代わりに顧客からの電話を受けてくれるサービスがあります。

人件費を使うことなく、商機を逃さずに済みます。

さらにバーチャルオフィスの住所あてに送付された郵便物なども、自宅などを指定すれば転送してくれます。これらのサービスを利用することで、スタッフを雇う人件費も削減できるようになります。

1-3 来社希望の顧客対応ができる

顧客の中には、来社を希望する人がいます。実際の会社の様子を見たいという理由もありますが、バーチャルオフィスは実際にオフィススペースがありません。

しかしビル内で打ち合わせなどに利用できるスペースが解放されているので、予約さえしておけば来客対応に使用できます。

自宅開業の場合には、このような来客対応に困ります。バーチャルオフィスなら柔軟に対応できますし、打ち合わせも行えます。

1-4 取引先の信用度を高めることができる

起業において最も重要なのが、新規顧客の開拓です。しかし実績がないスタートアップの時期は、顧客作りに苦労します。

しかし会社の所在地が有名なオフィス街であれば、それだけで信用度が増します。ホームページや名刺にバーチャルオフィスの住所を記載することで、相手に安心感を与えることができるからです。

そのような有名なエリアで実際にオフィスを借りるとなれば、相当の家賃が必要となります。しかしバーチャルオフィスでは数千円からという安い料金で利用できるので便利です。

1-5 自宅住所を公開せずに起業できる

個人で開業するとなれば、手頃なのがネット販売でしょう。法人化することで税率も有利となり、収益性も高めることが可能です。

しかし、そこで問題となるのが法人登記をする住所です。自宅で登記をすると、ホームページや名刺などに自宅住所を記載しなければなりません。

しかしバーチャルオフィスを利用すれば、その住所で法人登記をすることが可能です。自宅を公開することがないので、プライベートを確保できます。

2 バーチャルオフィスのデメリット

以上のように多くのメリットがありますが、デメリットについても把握しておきましょう。実際に利用してから不便に感じることがないように、事前に対応策を考えておくこともできるからです。

2-1 他社と住所が重複する

バーチャルオフィスはひとつの住所を複数の人に貸し出します。何階の何号室と勝手に作るわけにもいかないので、ほかの会社と住所が重複することがあります。

住所から検索して複数の会社がヒットすれば、バーチャルオフィスであると思われるかもしれません。

そのような場合、社名プレートを掲げることができるサービスを利用すれば対応できます。

これは実際にバーチャルオフィスがあるビルに、会社名を入れたプレートを掲げることができるサービスです。月額料金もそれほど高くありませんし、実際に足を運んでもらうと、そこに会社があると認識できるので安心してもらえます。

2-2 郵便の転送に時間がかかる

郵便物を転送してくれるサービスは便利ですが、時差がかかることはデメリットといえます。

サービスによってはバーチャルオフィスに届いた郵便物を実際に転送するまで、一週間ほどかかるケースがあります。

大事な書類を早急に届けて欲しいというような場合、それだけ時間がかかると困ります。そこで転送してもらう代わりに、自分が引き取ることができる場合もあります。バーチャルオフィスまで足を運ぶことができるのであれば、直接受け取りに行くとよいでしょう。

2-3 許認可の登録にバーチャルオフィスの住所が使えないことも

有料の職業紹介業を行う場合には、実体のある事業所がなければ厚生労働大臣の許可を得ることができません。

同様に人材派遣業も、一般労働者派遣事業は20平方メートル以上の事業所が必要です。

特定労働派遣業(登録型や臨時雇用の労働者を派遣する)は特に事業所の面積の要件はなく賃貸借契約書の提出も求められていませんが、バーチャルオフィスの住所でも登録できるかどうかは不明瞭です。さらに士業(税理士・司法書士・弁護士など)も事務所の登録が必要なので、実体のある事務所でなければ開業できません。

逆にバーチャルオフィスでも問題のない業種としては、通常の株式会社や合同会社、合資会社があります。ほかに一般社団法人・財団法人・NPO法人もバーチャルオフィスでの業務は可能となっています。

2-4 ネットショップには注意が必要

通信販売業であるネットショップは、特定商取引法の規制を受けるために、サイトの広告には販売業者の名称・住所・電話番号を表示しなければなりません。

個人の住所を載せたくない場合はバーチャルオフィスの住所を利用することになります。

実は特定商取引法では個人の氏名・住所・電話番号も表示するよう義務付けていますが、利用者からの開示請求にすみやかに応えることができる状態であれば表示しなくてもよいとしています。

ネットショップ開業でバーチャルオフィスを利用する場合には、そのような規定にも注意しておきましょう。

まとめ

バーチャルオフィスは実際にオフィスを構えないことで経費削減ができる反面、不便な点があるのも事実です。しかしそのようなデメリットも、工夫次第で解消することが可能です。

自分の業務に合わせてうまく活用できるように、メリットとデメリットを把握して活用するようにしましょう。


全国35拠点のバーチャルオフィス
2006年から営業開始:Karigo

自身も挑戦者でありながら、フリーランスなどの個人事業主などの挑戦者を支援する指針の元、2006年8月より営業を開始しました。ローコスト起業を考えていたり、節税対策などにも非常に有効です。